士魂学園。常在戦場を以て心構えとした、豪壮な校風で知られる高校である。
「なあ、兄ちゃんよお?」
「は、はい、なんでしょう」
「お前、捨て犬とか見たら餌やっちゃう方?」
「まあ、はい。餌持ってたら、ワリと、やる方だと」
「ふーん。じゃ、俺たちにも恵んでくれないかな」
「え、と。それはどういう?」
意味で、と言葉を続ける必要は無かった。
「ぶっちゃけ、金出せよ。財布の中身と、生徒手帳の中身と、親の財布と、家の引き出しと、預金通帳と、全部出せ」
「そ、そんな」
「そんなわざわざ稼がなくていいんですか、って? そんなことでいちいち感動するなよ。俺たち、優しいだろ?」
「なあ、俺らあんなに優しいヤツはいないって近所でも評判だもんなあ」
「そうそう。いつも峰打ちで済ませるぐらい優しいもんなあ。うーん、自画自賛」
「キミ、それでも男の子?」
「だ、だって、相手は刀持ってるし……」
「だったらキミも持てばいいでしょ! それとも、刀を買うお金も無いとか?」
「そうじゃない、けど」
「じゃあ、買いに行きましょ。ワリカンでなら奢ったげるよ?」
「え。今から学校が」
「行くの? 行かないの!?」
「あ、う。行き、ます」